私は高校の進路指導部で(数年間ですが)副部長の経験があります。

今回はその経験を活かし、企業の高卒担当者(または人事担当者)向けに、おそらく気になるであろう情報をまとめていきます。
地域差があるでしょうから、あくまで一例としてご活用ください。

高校求人は指定校求人にするべきか?
求人票をハローワークで作られる際

指定校求人にされますか?
と聞かれたことはありませんか?

指定校って何?
指定校とは文字通り(求人票を出す予定の)学校を指定する、てこと。
間口を広くして募集をかけたい場合や、どこでもいいからまずは人に来て欲しい! と考えている場合は、指定校を外します。
反対に、馴染みや付き合いがある学校だとか、または評判がいい学校なんかに求人票を出す場合は、その学校で指定校をかけます。
ちなみに学校の選定は、企業側(の採用担当者)が事前に選んでいないといけません。

求人を指定校にするべきかどうかについては
- 受験生を一人でも多く増やして、少しでも優秀な生徒を集めたいと思うなら、指定校は無し。
- 必ず1名はほしい、その学校で学んだ生徒なら誰でも大丈夫・・・と思うなら、指定校有り。
こんな感じで判断したら良いと思います。
指定校求人にしてメリットはあるの?
高校の現場からすると、指定校求人は
お宅の高校(と数校)にしか求人票を送っていませんよ!
という情報を、アピールされている意味合いしかありません。
アピールされているだけなので、指定校求人にしたからといって、その学校から必ず受験生が送られてくるということも、ありません。

それじゃ指定校求人にメリットはないの?

新規の企業と、馴染みの企業とでは違いますが、どちらにしても
教師から生徒への伝え方に差が出る。
これに間違いはありません。
伝わり方が変わってくる。
これこそがメリットです。
もう少し具体的に話していきましょう。
高卒就職は、チャンスが一度なので失敗できない
以前の記事(高校教師が知りたいと思うこと)でも話していますが、一般的に大学生の就職活動では、1人で複数社応募し、興味を持ってもらった(選考を通過した)企業にアタックしていく。
そして複数社から内定をもらって、最終的には就職活動者自身が企業を決めていく。
しかし、高校の就職活動は違います。
学校に来た求人(高校求人)で就職しようと思っている生徒に対しては、あくまで生徒の主体性(家庭の意向含む)を重視しながら、次のように進路指導をしていきます。
- 基本的に担任(または進路指導部の教師)が「つきっきり」で進路指導(企業の紹介、提案等)を行う。
- 9月中旬(16日~)から始まる就職試験は1社しか受けられない。
- ミスマッチを防ぐために(主に夏休みを利用して)応募前見学(実際に働く職場を見させてもらうこと)を積極的に行う。

大卒と大きく違うのはココ。
高校生の就職試験は、1度に1社しか受けられない。
ということです。

高卒の就職は1社しか受けられないからこそ、失敗したくない。
失敗したくないからこそ、手堅い(受けたらほぼ落ちることはない)会社を受けたい。
担任としてはそんな会社を受けさせたい、と思うわけです。

チャンスが一度なので、失敗できない(失敗したくない)という思いは、生徒・担任共にかなり強いです。

んじゃ、どうやって堅い企業かどうかを見極めてるの?
ここで参考になるのが、さんざん話しているコレ。
その高卒求人が、指定校求人かどうか?
これがポイントになってきます。
指定校求人であれば、落ちにくそうという意識がはたらく
指定校求人だったとしても、県内にある工業高校全てにばらまいているとか、隣接県の高校もふくめて数十校にばらまいている・・・なんていうと、指定校の意味合いは薄れます。

なので採用予定人数にもよりますが
全体で3名の採用を考えているなら、指定校は3校程度
が望ましいでしょうね。

会社全体で(最低)3名の採用予定人数の求人票を見て、そこに指定校として3校だけしか名前が挙がっていなければ

おぉ、各校1名か。(多分受けたら取ってくれるんだろう)
と意識します。
生徒が企業の選定で悩んでいる時に、これを覚えていると面談の時なんかに

こんな企業もあるが、どうだ?
と勧めやすくなります。
普通、採用試験や入試って
- 定員が決まってて
- 応募人数が分かって
- 実際に受験した人数が確定して
倍率がわかりますよね。
しかしコレでは実際に受けてみないことには、手堅かったかどうかの判断ができません。
受けてみてわかる、これを高校の現場では避けたがります。

その点指定校求人なら、倍率を(ある程度)予測できるので

この規模なら落ちにくそう・・・(勧めてみるか?)
このような意識がはたらくことで、生徒に勧めやすくなります。
指定校求人のデメリットは?

反対に、高卒求人を指定校にしてデメリットはどんなことがあるの?
深く考えず、場当たり的に指定校をかけると、人が集まってきてくれません。
ただでさえ、今は「売り手市場(就職希望者が選べる状況)」ですからね。
今度は「指定校求人」をかけるときに注意すべき点だったり、デメリットなんかを話していきます。
バッファをしっかり取っておく
元も子も無いことを言いますが、指定校をつけるつけないで悩むよりもまず
人事採用計画は十分な期間(余裕)をもって
準備を進めてください。

- 今年中に必ず1名採用しないと、会社が回らない。
- 大卒の内定状況が分からないと高卒に回せない。
- 7月入ってから何名取るか、求人票を作る準備をする。
こんなことだと、必ず後手に回ります。

仕事も同じだと思いますが、準備の善し悪しで結果が決まります。
- 7月に入ってから採用計画に着手しているようじゃ遅いです。
- 8月中旬以降に指定校の学校へ、求人の挨拶をしているようじゃ遅すぎます。
しっかりと準備期間(バッファ)を取って、段取りよく高卒採用を検討しましょう。

- 今年で集まるとは考えていない。
- 今後も引き続き求人票は出すつもりだ。(採用活動は継続して行うつもりだ)
こんな言葉と一緒に指定校求人をもらうことができれば、現場はその企業に対して良いイメージを抱きます。

指定校をかければ必ず人がやってくる、という訳ではない。
冒頭話しましたが、指定校求人は単なるアピールの一種なので、受験生が必ずやってきてくれるほどの効力はありません。

指定校かけたのに、人がこない。
この状況はすごい多いです。

なのでよくあるパターンとして、はじめに送った求人票は指定校求人だったが、9月中旬~末ごろの採用状況を鑑み(応募が少ない、充足しなかった)、指定校を外して再度募集をかけることも多いです。

高校の現場もわかっていますから、それだけで十分です。
もし給与・勤務地等の条件等が変わるのであれば、再度ハローワークにいって新しい求人票を作成しなくてはいけませんが…。
ともあれ。
指定校求人を出したからといって、必ず受験生がやってくるとは限りません。
指定校求人で集まる生徒は、会社で一から育ててく。という意識
指定校求人はその手堅さから

こんな生徒(校内の順位でいうと「中または下」の生徒)たちがが受けることも多いので、会社で育ててくという意識も必要です。

参考高校教師経験者がハローワークでは決して教えてくれないこと語る
指定校求人を出しておきながら、ぶっちゃけ”そうでもない”生徒が来たときに

うーん、いまいちだな。
そう感じて落としてしまうと、高校の現場は

なんだよ、指定校かけておいて落とすのかよ。

人はほしいが、選ばせてもらうってか。それなら指定校かけるなよ。
と感じてしまいます。

このあたりも良くお考えになって、指定校求人にされるかどうかご判断ください。
最後に
昨今の人材不足は深刻だと思います。
募集をかけても、そもそも人が来ない・・・なんて状況も多く見受けられます。
大企業や余力のある会社なら、潤沢なリソースのもと採用活動が行えるでしょうが、そんな会社ばかりじゃないと思います。
だからこそ
指定校求人にした方がいいのか?
と悩みますよね。
特につきあいが疎遠(または新規)の学校に対しては。

馴染みがある会社(過去に生徒が行っていた会社)ならば、その生徒の学力等を参考にしながら、今の生徒に提案(いけるのか、無理なのか)しますが、ご新規様だとそれができませんので、どうしても安全策を取りたくなります。
繰り返しになりますが、高卒求人で指定校をかけるかどうかは
指定校求人にした方が良い
- 馴染みがある、今後継続的に生徒を送ってほしいと思っている、評判がよい学校に対して。
- 指定校にしても、生徒が来るとは限らない。
- どんな生徒が来ても、自社で一から育てるという覚悟が必要。
指定校はハズした方が良い
- 上記以外。
- 広くいろいろな学校から優秀な生徒を集めたい。
こんなところが判断基準になると思います。
貴社の採用活動の一助になれば幸いです。
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